見えないレイバーのつらさ──INA『牛乳配達DIARY』
平成30年の愛知県、26歳の牛乳配達員。
戻りたくないけど懐かしい日々の記録。
自分とは全く違う生活をマンガで追体験してみませんか?
INA『牛乳配達DIARY』を読了。
アメリカの友人がよく曰く「目に見えないレイバー」(invisible labor)。円滑な暮らしが、必ず誰かが、静かに支えてくれている。コロナ禍でテレワークできぬ労働者がずっと前からいるそんな事実が、理不尽なロックダウンによって、浮き彫りになっています。そんな感じのコミックです。
そういっても、過酷な労働状況に反発するばかりなコミックエッセイでもありません。そもそも、著者が「マンガ的すぎるからやっぱマンガにするかな」という気持ちで始まったダイヤリーで、牛乳配達者のダイヤリーでありながら、牛乳営業のダイヤリーでもあり、地元暮らしあるあるのダイヤリーでもある。例えば、運転中に見かけた誰かの車に貼った手書きのかわいい初心者マーク。牛乳の契約をしないおばさんからもらった塩飴の渋い味。ほぼ繋ぎのない話に見えるが、「一体何のために働くか」と静かに問う一冊です。
いつかコンビニバイトDIARYを読んでみたいですね。