タバタの読書日記

本好きの本棚を紹介するブログです。

子供たちの性長を見守ろう──シモダアサミ『中学性日記』

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大体の大人が子供から性のことを隠したがる

それでもどこからがそういう知識が入ってきて

誰に教わることもなく

いつの間にか知っていたなんてことも

性についてあなたはいつ、どこで知ったか、覚えていますか?

(第2巻から引用)

先週、香港駐在の日本人弁護士に会いました。真夜中まで作業をしているのがお互い様で、終わりなき仕事漬けの職場でどう生存できるかについてお話が盛り上がりました。

「仕事の息抜きに、毎日15分漫画を読みます。」弁護士さんが弁護士らしく理論的に自らの習慣を解説してくれました。「映画がとにかく長すぎて。漫画なら読みやすいし、15分で1巻を読んじゃうので。スマホに2000巻ほど入ってます」

そのきっかけに、僕も久しぶりに漫画を全巻読破しました。やっと何かを読了させたその読後感がと最高でした。

さて、本題に入ります。

漫画における「青春」といえば、おおさっぱに言うと、ホモソーシャルなロマンスを表すアツい男同士が戦う野球の少年漫画もあれば、非現実なロマンスを表す女性の後輩がその戦っている野球男児をアツく追いかける少女漫画もあります。無論、そういう売れない漫画が(たぶん)存在しませんが、オフィスでおひとり様のティクアウト弁当をいただいている際に振り返ると、学生生活がなおさら多彩に見えます。

しかし、ロマンチックなオーラには、必ず闇もあります。中学時代、そして高校時代もカラダの成長期です。身長が伸びます。髪の毛が意外なところで生えます。ニキビが爆発します。起きたらパンツがベタベタしています。性の悩みが決して独特ではないのに、いつも一人で悩みがちです。世の中のあらゆるものを疑問とする高校生の頭も、他人の外観と比べながら、考え出します。どうでもいい人間像に、自分の体を合わせます。ボデイイメージへのコンプレックス、それとセックスネガティヴな発想が、発展の場である学校で暴走したら、大人になっても、なかなか消えません。

『中学性日記』は、そんな青春漫画です。忘れたい、忘れたはずなのに忘れられない思い出がたっぷり入っている作品です。弁護士同士の世間話で話にならない漫画かもしれませんが、それでも読みがいがあります。

中学性日記 : 1 (アクションコミックス)
 

ちなみに、アマゾンで中古の全巻セットを購入したら、届いたのは漫画喫茶の処分品でした。濃厚なタバコの匂いがページに浸透していました。

見えないレイバーのつらさ──INA『牛乳配達DIARY』

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平成30年の愛知県、26歳の牛乳配達員。

戻りたくないけど懐かしい日々の記録。

自分とは全く違う生活をマンガで追体験してみませんか?

トーチwebの紹介ページから引用

INA『牛乳配達DIARY』を読了。

アメリカの友人がよく曰く「目に見えないレイバー」(invisible labor)。円滑な暮らしが、必ず誰かが、静かに支えてくれている。コロナ禍でテレワークできぬ労働者がずっと前からいるそんな事実が、理不尽なロックダウンによって、浮き彫りになっています。そんな感じのコミックです。

そういっても、過酷な労働状況に反発するばかりなコミックエッセイでもありません。そもそも、著者が「マンガ的すぎるからやっぱマンガにするかな」という気持ちで始まったダイヤリーで、牛乳配達者のダイヤリーでありながら、牛乳営業のダイヤリーでもあり、地元暮らしあるあるのダイヤリーでもある。例えば、運転中に見かけた誰かの車に貼った手書きのかわいい初心者マーク。牛乳の契約をしないおばさんからもらった塩飴の渋い味。ほぼ繋ぎのない話に見えるが、「一体何のために働くか」と静かに問う一冊です。

いつかコンビニバイトDIARYを読んでみたいですね。

牛乳配達DIARY (torch comics)

牛乳配達DIARY (torch comics)

  • 作者:INA
  • 発売日: 2020/04/13
  • メディア: コミック
 

はじめましてこんにちは。

どうも。これまで英語でブログを書いてきたケネスです。 

2018年の夏、暇つぶし対策として、"Tales From Tabata"という個人ブログを始めました。本来、日本社会、近代文化の課題に関する作文をどんどん出していこうと思ったが、毎回投稿するために予想以上の時間がかかってしまい、加速していくニュースサイクルを追いかけるのが毎日の奮闘です。

そして、おうちタイムが増加したコロナ禍のなかで、ツイッターに初めて参加した際、日本ネタを熱心につぶやく日本人ライターの方、そして日本に移住した方、ポップカルチャーを英訳してくれる方、世界各地の学習機関に所属する研究者の方にたくさん出会った。非常に刺激を受けたものの、カジュアルブロガーであるぼくとして限界を見えてきました。描きたいネタはまだいっぱい残っていますが。

それに、最近、久しぶりに卒業生として、お世話になった日本語の教授がオンラインで開催する会話テーブルに参加すると、自分の言語能力をどれだけ減ってきたのか驚いたのです。変な関西弁っぽい喋り方が恥ずかしかった。

また日本語力をしなやかに握らせる上に、積読してきた日本語書籍を消化させるきっかけとして、こちらで副ブログを始めさせていただきます。頑張って外国語で書いていきます。

今後もよろしくお願いします。

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